★全国シェア4割!★ 『沼津』のアジ干物

干物について何度か書いてきましたが、今回は「干物の名産地」の話です。

干物で有名な地名というと、皆さんはどこか浮かびますか?

日本は水産資源大国ですので、干物を生産している地域は多いですよね。

優劣の話ではなく、圧倒的に『盛んな』地域がいくつかあります。


静岡県の『沼津』は皆さんご存知でしょうか。

東海・関東にお住まいの方は地名には馴染みがあると思います。

江戸末期から干物製造が特に盛んになり、何と今では全国の「あじ干物」の半分近くがこの沼津で生産されています。

なぜ沼津が干物の名産地なのか。

今回はそんなお話です。


旨い干物の条件

良い干物の条件はシンプルです。

『高品質な原料』と『精度の高い加工』です。

前者は「魚自体の質」、後者は「干物にする技術の高さ」です。

島国の日本は、獲れる魚種は違っても海が近く「魚の質」は各地で高いですよね。

やはり干物の差は加工に現れます。

この『加工技術』はその土地の環境によって育まれます。

では、沼津の土地の環境とは...↓


沼津が「名産地」のワケ

歴史的になぜ沼津で全国の半分の「あじ干物」が生産されるようになったのでしょう。

その理由は4つ。


1.日本一深い湾「駿河湾」

2.富士山を中心とした山々

3.東海地方の日照時間

4.歴史的な交通立地

日本一深い「駿河湾」

沼津は『駿河湾』に面した地域です。

この『駿河湾』がまず何よりも鍵なのです。

駿河湾は日本で一番深い湾です。最深部は2500mほどあります。

海は全て同じ「海水」ではありません。

深い海ほど、海水がいくつかの層になっています。

この層の境目に良質なプランクトンが多く生きています。

つまり、魚たちにとっても豊富なエサ場になるのです。

駿河湾に住む魚たちはざっと1,000種、しかも新種も200種以上見つかっています。

桜エビやタカアシガニなどは駿河湾の代名詞ですよね。


良質な魚が豊富の獲れる駿河湾、旨い干物の条件のひとつ『高品質な原料』がすぐそこで手に入るのが沼津です。


ちなみに日本で2番目に深い湾は神奈川県の相模湾、3番目は富山県の富山湾です。

神奈川県には沼津とも肩を並べる干物の名産地『小田原』が、富山県にもホタルイカで有名な『氷見』がありますね。

これは偶然では無く、その地場の『湾の構造』が関係しているんです。


富士山を中心とした山々

沼津の立地は本当に個性的です。

『海』だけでは無いのです。

なんと後方に富士山を中心とした山々がひかえています。

富士山は言わずもがな日本一高い山。駿河湾は日本一深い湾。

すごい立地ですよね!

これが干物生産に何が良いかというと、「風」です。

後方の高い山々から乾燥した風が定期的に吹く環境は「天日干し」に最良です。

(「ならい風」と呼ばれますが、これも漢字で書くと東北風ですね)


日照時間

お茶でも有名な静岡県はその安定した日照時間が特徴的な地域です。

これは様々な生産物に恩恵を与えます。

干物も例外ではありません。

特に屋内での機械乾燥技術が発達するまでは、この日照時間の安定さが干物の味に大きな差を生んでいたはずです。


交通の要衝

沼津を干物で有名にしたのは、交通から見た立地にも要因があります。

沼津は東海道五十三次の12番目の宿場でした。

(歌川広重の「東海道五十三次」にも沼津宿が描かれています。)

もともと人の行き来がある地域ですから、美味しい干物の口コミは広がりますよね。

この4つの土台があり干物生産が盛んになると、職人が増え互いに切磋琢磨していきます。

鮮度に、塩に、水に、乾燥方法にそれぞれ職人がこだわり始めます。

それが沼津では100年以上続いているわけです。


現在では流通技術が各段に良くなったため、全国の『高品質な原料』が沼津の干物職人のもとに集まります。

これがまた凄いことだと思います。


ちょうど6月は「真あじ」が良い時期です。

ぜひ皆さんも沼津のあじ干物を召し上がってみてくださいね。




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